東京から持ってきた花林糖が底をつきそうだ。
インターネットもクレジットカードも使えない労働階級のエリアにある掘立小屋では、私が何処からきたかのリマインドを送ってくれる司令塔の役割も担っていた。
キューバの人はこのカリカリとした食感とか、噛み締めると砂糖の粒が砕けるのとか、そんなのどうでもいいんだろうな。バサバサのパンを片手に「甘いね。」シンプルな答えだけが返ってくる。
キューバ滞在中、喉や、皮膚、血液にザラついた詰まりを感じたのは、あまりにこの地がドライと湿気の間で上手に暮らしていて、快適とか便利とか、そんなものの中で暮らす私の器官では濾過出来なかったからだ。
感じる沸点がそもそも違うのかもしれない。
みんながそういった空気を纏っているから、5日目も猛烈に喉が乾くことはなかった。そして私の渇きがなくなることはなかった。